くらしの便利帳|佐賀
かわいい猫にまつわる雑学話。しっぽが曲がっている『尾曲がりねこ』『尾曲がりさるく』の意味、ルーツ、曲がりシッポの種類や幸福を呼ぶ言い伝えなど。知るとちょっと楽しくなる豆知識をご紹介します。ネコ好きな人必見の雑学コラムです。
近年は稀にみる猫ブーム! 猫って理屈ぬきでかわいいですよね。
そんな猫のかわいさが発揮される魅力の一つが『しっぽ』です。今回は日本猫のしっぽにまつわる豆情報をほんの少しご紹介します。
長崎にはしっぽが曲がった『尾曲がりさるく』猫がたくさんいます。『さるく』とは散歩・街ぶらを意味する長崎弁です。佐賀でも年配の方は使われますよね。従って「しっぽが曲がった街猫(野良猫)」という意味になりますね。
長崎にいる猫のほとんどは江戸時代に海外から来た猫たちだそうです(外猫さん!)。
では、なぜその尾曲がりさるくたちの尾は曲がっているのでしょう? それは江戸時代の長崎出島とオランダとの貿易事情が関係してきます。
京都大の野沢謙名誉教授の調査によると、尾曲がり猫のルーツはインドネシアやその近辺の東南アジアだそうです。当時オランダが経営していた東インド会社・アジア支店はインドネシアにありましたので、乗船を義務付けられていた猫の調達も多くはそこで行われていました。当時オランダ船は猫を乗せなければ事故時に保険がおりないというきまりがあったため、必ず猫を乗せていたそうです。
そこで尾曲がり猫ちゃん達がオランダ貿易船に乗ってはるばる来日し、家庭(子孫)を築き、根付いたというわけなのですね。
その少し前、江戸ではまっすぐしっぽの猫ちゃん達が忌みきらわれ、一斉追放されたりしっぽを切られたりという痛ましい事態が起こりました。
なぜしっぽがまっすぐだといけないのか。それは佐賀県の『鍋島の化け猫騒動』の猫がまっすぐしっぽだったためだと云われています。まっすぐしっぽの猫は老成して二股しっぽの化け猫へ変化すると言われていたからです。
しかし、猫はただかわいいからと飼われていたわけではなく、害獣・ネズミの捕獲という役割も大きく果たしていました。そのため猫が激減した江戸の民たちは、再びネズミ被害に悩まされていきます。
その噂を聞きつけて商売に結び付けたのが、前出の長崎商人たち。
「だったら二股しっぽにならない、元々尾が曲がっている猫はいかがですか?」と江戸へ行って販売したのです。もちろん江戸民たちは喜んで尾曲がり猫を譲り受けました。そこで江戸(関東)にも尾曲がり猫が多くなったのですね。
しっぽの曲がり方には『かぎしっぽ型』『(カールした)お団子型』『短尾型』の3パターンがあります。特にかぎしっぽ型は西洋を中心に幸せを呼ぶ猫として縁起が良いとされているのですよ。
しかし、どんなしっぽの猫でも自分の家に来てくれた猫は、そこにいるだけで、あるいは見ているだけで幸せな気分になりますよね。結局はどんな猫でも幸せを招いてくれるのです。かわいがってあげてくださいね。
参考文献他:
・「生息の割合全国トップ 長崎の猫 なぜ尾曲がり? 鎖国に関連 ネズミ退治
に鍵」西日本新聞 2016年04月02日付
・日本の謎と不思議大全 西日本編 (ものしりミニシリーズ) 著者人文社編集部
・猫と分子遺伝学 仁川純一著
・猫の毛並み 野沢謙 著
・猫と遺伝学 仁川純一 著
・猫塚(秀林寺| 白石町ホームページ
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